あなたはプログラミングしている時、どんなキーボードを使っていますか?
キーボードはエンジニアとして活躍していく中で一日で最も触れている時間が長いガジェット(インターフェース)だと思います。
侍で言い換えれば刀、野球選手で言えばバットのような日々の成果に繋がる大変重要なデバイスなのです。
今回の記事ではそんな軽視しがちですが実は日々の生産性に直結しているキーボードについてこだわるべき理由3つと、大まかなキーボードの種類を解説していきたいと思います。
最後まで読めばキーボードがいかに仕事において重要なガジェットであるかが分かってもらえると思います。
今エンジニアとして働いている人、あるいはこれからエンジニアになろうとしている人の中で、
えっ、普通のキーボードですけど
みたいな事考えた方は是非最後まで読んでみてください。
目次
人間の手は千差万別
理由を挙げる前に確認ですが、この記事にたどり着いた多くのエンジニアの人やプログラミング学習をしている人は、おそらくデスクトップ PC を買ったときに付属でついてきたキーボード、あるいはノート PC にデフォルトで搭載されているキーボードを使用しているのではないでしょうか?
僕の身の周りでも半数以上の人はそこまで自分が使っているキーボードにこだわりや快適さを求めていないように思います。
人間の手は千差万別、みな必ずしも同じ形、大きさ、指の長さをしていません。
A さんにとっては普通に使いやすく、不自由のないキーボードでも、B さんにとっては押しづらいキーが存在したり、肩幅の広さの違いから腕が狭まってしまって肩こりの原因になっていたりと人によって使いやすさ、快適さは異なるはずです。
それらのストレスを抱えたまま無理やり自分の体に合っていないキーボードを使っていると仕事で思った結果が出せなかったり、作業の効率を下げたり集中できずに些細なミスをしてしまうなどの事も考えられます。
それらが積み重なってひどくなると腱鞘炎などの症状が出てきて、タイピングするたびに痛みを感じてそのまましばらく一蓮托生、やっかいな相棒を抱えて仕事をしていく事になってしまいます。
自分の手や体に合わないキーボードを使い続ける事がどれくらいエンジニアにとって悪い影響があるかなんとなく分かっていただけたでしょうか。
キーボードにこだわるべき理由
前置きが長くなりましたが、ここからはエンジニアがキーボードにこだわるべき理由を3つ挙げてみたいと思います。
- 体に疲労が蓄積しなくなる
- ミスタイプが減る
- 心地よいタイピングで仕事が楽しくなる
身体に疲労が蓄積しなくなる
多くの方にとってこれが一番の恩恵になるのではないでしょうか。
先程も少し言及しましたが、自分に合っていないキーボードを使い続けると腱鞘炎などの肉体的な疾患に繋がってしまいます。
プログラマーやエンジニアは技術職、手はまさに命と言ってもいいでしょう。
メインの仕事はやはりプログラムをゴリゴリと書いて世の中を少しでも便利にするために頑張ることだと思います。
その役割を全うするために、手首や身体にはそれなりに気を使ってあげる必要があると僕は考えます。
キーボードを自分の手にあったサイズ、高さ、形の物に変えることで手首の痛みや腱鞘炎、そこから連鎖的にくるであろう肩こり、腰痛などが軽減されてプログラミングする時ストレスなく集中して取り組めます。
使っているデバイス 1 つを変えるだけで自分の身体への健康被害を抑えられて作業の効率を上げる事ができるならば検討しない手はないのではないでしょうか。
ミスタイプが減る
これは普段から複数の PC を使い分けている人にとってはありがたいメリットではないでしょうか。
プログラミングする上でやはりブラインドタッチは欠かせないスキルだと思います。
同じキーボードといえどメーカーや種類によって多少キーの配置が違っていたり、大きさが異なっていることって結構ありますよね。
頻繁に使うキーボードを変えていたらブラインドタッチするときにミスタイプも多くなってストレスが溜まると思います。
代表例で言えばカーソルキーではないでしょうか。
ものによって右 Shift キーの下に配置してあったり、PGUP や PGDN の下に配置してあったりと配置が違うと思います。
毎回違うキーボードを操作するたびに違うキー配置や大きさに適用しなければならないのはしんどくないですかね?
そういうつらい要素を排除するためにも、自分が使うキーボードはこれだけ!と予め決めておいたものを用意して毎回同じキーボードを使用すれば、そのようなストレスからは開放されてミスタイプも減って作業に集中できることでしょう。
心地よいタイピングで仕事が楽しくなる
これは僕自身が一番感じている所ではあるのですが、ここまでに書いてきた健康面や作業効率に関する効果はもちろんすごく大きなメリットなのですが、キーボードにこだわる上でそれら以上にメリットになりうる要素があります。
それは、自分がタイピングしていて気持ちのいいキーボードを使うことでプログラミングが楽しくなるということです。
プログラミングをする以上、ほぼほぼ全ての人が PC を使ってキーボードにタイピングしてコードを書いていると思います。
そんなプログラミングをする上での大半を占めるタイピングという作業の時間をもっと楽しく、気持ちよくすることができれば仕事や学習のモチベーションが上がると思いませんか?
実際僕もキーボードのキースイッチを自分好みの物にこだわりをだしてからタイピングする時間が楽しくなって結果的に仕事やプログラミング、このブログ執筆が数倍楽しくなりました。
今ではタイピングがしたいがために、それらを率先してやるという手段と目的が逆になっているという状態です。
それほど自分でこだわった良いガジェットやアイテムを使用する事自体が作業効率や気持ち的に良い効果をもたらすという事だと思っています。
キーボードのスイッチの種類
ここまでキーボードにこだわるべき理由を解説しましたが、ではどんなキーボードを使えば良いのか分からない方も多いと思います。
ひとえにキーボードとは言っても様々な種類があり、その仕組みや見た目は多種多様で山程あります。
大きく一般的なキーボードの種類をあげると
- メンブレン式キーボード
- パンタグラフ式キーボード
- メカニカルキーボード
- 静電容量無接点方式キーボード
の 4 種類が挙げられると思います。
ここからは少しだけこれらの仕組みとタイピングの押し心地(打鍵感)や特徴を深堀りしていきます。
メンブレン式キーボード
メンブレン式は、デスクトップパソコンの付属品などに採用されることが多い種類です。
おそらく会社から支給されたキーボードはこの種類だとおもいます。
価格は比較的安く、耐衝撃性に優れているのが特徴です。
ラインナップも幅広く、コストパフォーマンス重視の人におすすめの種類です。
各キーには「ラバードーム」と呼ばれる緩衝材みたいなものを噛ませているため、タイピングはゴム特有の柔らかい弾力ある感触でしっかりと押し込む必要があるため、短時間だけ使用する人や、素早さよりも確実性重視の人に向いています。
- 価格は安くてコスパに優れている。
- 耐衝撃性に優れている。
- 柔らかい弾力ある感触で素早さよりも確実性重視の人向き
パンダグラフ式キーボード
パンタグラフキーボードは、主にノートパソコンなどで採用されている種類です。
どこを押しても均一にキーが沈み、キーの深さが浅いため戻りも早くて指が疲れにくく、高速タッチタイピングにも向いているのが 特徴です。
価格は比較的リーズナブルで持ち運び用など、サブのキーボードとしても便利な種類です。
内部にはメンブレンと同様に「ラバードーム」を採用していますが、「パンタグラフ」と呼ばれる構造を採用しているため、タイピング感は軽快。薄型に作りやすく、カバンなどに入れて持ち運ぶ人にもおすすめです。
- 価格はリーズナブル。
- 持ち運び性に優れている。
- 指が疲れにくく、高速タイピングに向いている。
メカニカルキーボード
メカニカルキーボードは、主にゲーミングキーボードなどに採用されることが多い種類です。
耐久性に優れているのと、キースイッチの種類が豊富なのが特徴です。
キーの下部に、金属製のバネを内蔵しているため反発力が強く、キーの戻りもスピーディです。
価格は比較的高価で、価格よりも性能を重視する方に向いています。
カスタマイズしやすいため、キーのパーツ交換を考えている方にもおすすめの種類です。
また、メカニカルキーボードには更にさまざまな種類があり、キースイッチの違いによって、
- 赤軸(スイッチ感はあまりない。オノマトペで言えば「スコン」)
- 青軸(明確なスイッチ感。オノマトペで言えば「カチッ」)
- 茶軸(軽めなスイッチ感。オノマトペで言えば「カチ」)
- 黒軸(赤軸と同様スイッチ感はなく、落ちる感覚。オノマトペで言えば「スコン」)
他にも銀軸やピンク軸など本当に多種多様なキースイッチが存在します。
打鍵感やタイピング音なども異なるので、好みに合わせて選びましょう。
- 価格は比較的高価。
- 耐久性に優れていて、キースイッチのバリエーションが多い。
- 自分の好みの打鍵感を選ぶ事が出来てカスタマイズ性が高い。
静電容量無接点方式
静電容量無接点方式のキーボードは物理的な接点がなく、キーを押したときに静電容量の変化を感知して入力判定を行う種類です。
そのためキーの底打ちが必要なく、ほんの少しキーを押すだけで敏感に反応してくれます。
耐久性と静音性に優れているため、オフィスなどでの使用にも向いています。
キーのストロークが浅く、タイピング感が軽いため指、体への負担を軽減でき、高速タイピングにもおすすめの種類です。
価格は高めですが、エンジニアやプログラマーなど、1 日の大半をタイピングしながら過ごす方や、押し心地にとことんこだわりたい方に向いています。
ただこの方式のキーボードは先程も記載しましたが価格が高価なのが難点です。
しかし、たとえ高価な製品だとしても、毎日膨大なタイピングをするうえで、作業効率が高く、疲れを軽減できるアイテムです。
しかも静電容量無接点方式はキーを底打ちしないので、部品の摩耗も他の種類のキーボードと比較してもだいぶ軽減されています。
故に何年にもわたって使い続けられるキーボードですから、そこは多少金額面にも目をつぶって、投資してもよいのではないでしょうか?
- 価格は超高価。
- 非常に耐久性に優れている。
- 体への負担を軽減できて打鍵感とタイピング音が最高。
yutoが使っているキーボード
ちなみにではありますが、僕が使っているキーボードはHappy Hacking Keybord(通称 HHKB)と呼ばれる製品です。
結構有名なキーボードなので知っている人も多いかもしれませんね。
中でも使っているモデルは Bluetooth 接続と有線接続を切り替え可能、そして静音性にも特化させた「professional HYBRID Type-S」と呼ばれるタイプです。
家にある PC は全てこの 1 つのキーボードで入力、制御をしています。
静電容量無接点方式のキーを採用していてお値段はなんと35000円くらいです。
最初は僕も文字を入力するだけのデバイスに数万円も使うのはアホらしいと思っていた時期があったのですが、やはりエンジニアである以上は仕事道具として一番いいものを買うべきだろうと勇気を振り絞ってポチりました。
もし自分に合わなかったら速攻でメルカリに出品してやろうと思っていたのですが、いい意味で期待を裏切られてしまいました。
タイピング感は独特な感じで「スコスコ」と気持ちのいい感触と音を奏でてくれるのが特徴です。
このキーボードは名前からも分かるようにどっちかというとプロの職人向けのキーボードとなっていて、この感覚は一度使ってみないと分かりにくいと思いますが、一度使うとあまりの使いやすさに他のキーボードで入力をするのが苦痛になるほどです。
ちなみにこの HHKB を使う上で嬉しい点として、通常のキーボードのCapsLockの位置にControlキーが標準で割当られています。
プログラミングをする上で Controlキーを使って操作する場面はたくさんあると思うのでまさにエンジニア向けのキーボードとしてとてもおすすめできる製品だと思います。
僕はもうその特殊なキー配列に完全に慣れてしまったせいもあって、HHKB 以外のキーボードをうまく扱う事ができません。
違うキーボードを操作すると毎回Controlキーを使っているつもりで CapsLockキーを押してしまい入力ミスを頻発してしまい多大なストレスを感じる様になってしまいました。
トータルで使ってみた感想としては大変タイピングが心地よく、頑丈なのであと5年くらいは使い続けると思います。
詳しくHHKBを1年使ってみたレビューは「【脱キーボード沼】現役プログラマーがHHKB Professional HYBRID Type-Sを1年間使ってみた感想」で記事にしているのでよければ参考にしてください。
【脱キーボード沼】現役プログラマーがHHKB Professional HYBRID Type-Sを1年間使ってみた感想
キーボードは生涯使えるインターフェース
アメリカ西部のカウボーイたちは、馬が死ぬと馬はそこに残していくが、どんなに砂漠を歩こうとも、鞍は自分で担いで往く。馬は消耗品であり、鞍は自分の体に馴染んだインタフェースだからだ。いまやパソコンは消耗品であり、キーボードは大切な、生涯使えるインタフェースであることを忘れてはいけない。
これは先程紹介した僕が愛用しているキーボードである HappyHackingKeybord を開発した東京大学の名誉教授である和田英一氏のキーボード界隈(?)では有名な名言です。
僕もこの言葉に完全に同意です。
パソコンはいつか買い替えても、キーボードはずっと使い続ける。ということから、たとえ荒野で馬が死んでも鞍は自分が担いででも使い続けるというエピソードになぞらえて、「馬の鞍」と例えられています。
あなたも日々のプログラミングをもっと楽しく、快適にしてくれる自分に合ったキーボードを探してみてはどうでしょうか?
この記事を通して少しでもキーボードに興味を持っていただけたら嬉しいです。