【脱キーボード沼】現役プログラマーがHHKB Professional HYBRID Type-Sを1年間使ってみた感想

エンジニアたる者、キーボードはいい物を使うべし的な風潮がありますよね。

まぁ確かにデスクワークをしている人なんて一日の8割くらいはずっとキーボードで何かしらをPCに入力しているわけなので、そこに多少なりともお金をかけて仕事の快適性や効率を上げてもいいんじゃない?と思い1年前にあの有名なHHKBのフラグシップモデルである「Professional HYBRID Type-S」の墨色を購入しました。

先に結論を書いてしまうと、本当に買ってよかったという感想に落ち着きました。

ただ単純に感想を書くだけでは捻りがないので、今回は僕がエンジニアとして仕事する中で1年間使用してきての使用感に重点を置いて書いていこうと思います。

キーボードを買い替える事で得られるメリットについては「現役エンジニアが仕事で使うキーボードにこだわるべき理由3つを解説!」で紹介しているのでよければ読んでみてください。

もちろん他の仕事をしている人にも参考になると思うのでぜひ最後まで読んでもらえると嬉しいです。

なお今回キーボードの配列はUS配列を紹介しているので注意してください。

そもそもHHKBとは

HHKB(Happy Hacking keybord)とは、富士通のグループ会社である株式会社PFUが販売している静電容量無接点方式のお高めなキーボードです。

その歴史は古く1996年から長年に渡り多くの人に愛されていて、特に仕事としてキーボードを酷使するエンジニアやプログラマー、ライターやブロガーなどから多くのファンを得ています。

「静電容量無接点方式」のキースイッチ

キースイッチの仕組み

HHKBの最大の売りがこの「静電容量無接点方式」のキースイッチが使われている事だと思います。

この静電容量無接点方式がどんなフィーリングか分からないと思いますが、実はコンビニに行ったら置いてある銀行ATMのテンキーがこの仕組みを使っているので、次にコンビニでお金をおろす機会があればぜひ意識してタッチ感とかを感じて見てください。

ATMを使う人のイラスト

「あ、確かに普通のキーボードとなんか違うわ」と感じてもらえると思います。

静電容量無接点方式の特徴としては、物理的な接点を持たないスイッチであるのでタイピングをしていても指が疲れにくくて非常にキースイッチが壊れにくいです。

分かりやすく例えてみると、指で机を叩くと衝撃が指に直接返ってきて痛いですが、空中を指で叩いても何の衝撃も返って来ないですよね?それと同じようなイメージです。

エンジニアあるあるですが、コードを書いていて最後にEnterキーを「ターン!!!!」と強く叩いてしまう人も多いのではないでしょうか?

普通のキーボードでそれを何度も繰り返すと案外早く衝撃でキースイッチが壊れてしまいますが、この静電容量無接点方式はスイッチに物理的な接点を持たないので強く叩いても衝撃が伝わらずに安心してEnterキーを叩く事ができます。

加えて一つのキーにつきタイピング約3000万回の耐久性があります。

いかにこの方式が耐久性と快適性に優れていて長く使って行けるかを分かってもらえたと思います。

スコスコと気持ちのいい打鍵感

キーボードを語る上で必ず話題に上がるのがタイピングをした際の「打鍵感」というものです。

この打鍵感というのはいうなれば「キーを叩いた時の感触」だと思ってください。

キーを押すときのストロークの深さなどがこの感触に影響してくるのですが、このHHKBの打鍵感は「スコスコスコ」ととても気持ちのいい音と感触を与えてくれます。

エンジニアの業務はキーボードに触れる時間が大半なので、この一回一回のタイピングがどれだけ気持ち良くて快適であるかが、日々の仕事の効率に大きく関わってきます。

自分の場合、このHHKBの打鍵感をもっと感じたくて仕事に積極的に取り組んだり、自主的に業務外でコードを書いたり、このブログを頑張って更新しようと思う部分が大きいです。

そう言った点で持っているだけでスキルアップが自然と出来てしまう不思議なキーボードだと言えます。

洗練されたデザイン

HHKBは性能だけではなく、見た目にも凄く拘りを強く感じます。

今の時代PC周りのデバイスは何でも光らせて映える製品が多い中、このHHKBは一貫して黒と白の2パターンのみのカラーバリエーションです。

もっと言ってしまえばインターネット黎明期的な古臭いデザインにも見えてしまうかもしれません。

ただ、その武骨さからくる無駄の無いシンプルな高級感あるデザインが仕事に対するモチベーションを上げてくれます。

人は日常から取得する情報の9割が視覚からと言われているらしいです。

なんか今日仕事のやる気出ないなーと思う日でもこのかっこいいデザインのHHKBを見れば重い一歩を踏み出すきっかけになるかもしれませんよ。

コンパクトなサイズ

13インチMacBook Proのキーボードの上に直接置いて尊師スタイルも可能

HHKBは無駄を削ぎ落したシンプルなデザイン故に筐体サイズもかなりコンパクトに抑えられています。

机回りをシンプルにしたい人にとってもこのHHKBは非常におすすめです。

このサイズ感であればカバンに入れてもかさばらずにカフェに持ち出して気分を変えてコードを書くことが可能です。

この後説明しますが、このHHKBをしばらく使って慣れてしまうと他のキーボードが使いにくく感じてしまってコーディングの際にストレスを感じてしまうかもしれないので、どこにいても同じ環境で作業できるのはかなり大きいと思います。

独特なキー配列

今更ではありますが、このHHKBを今後もし使っていこうと考えている人はそれなりの覚悟が必要かもしれません。人によってはここがデメリットになるとは思います。

なにせこのHHKBは他のキーボードと違い、キーの配列が独特で慣れるまでに少し時間がかかります。

そしてこの独特な配列に慣れてしまうともう他のキーボードには戻れなくなります…。

実際僕はまだ出社していた頃は毎日会社にHHKBを持って行っていましたが、たまに家に忘れてきた時はめちゃくちゃ作業効率落ちてストレスが半端なかったのを覚えています。

大きな特徴としては

・「Fnキーとの組み合わせ」によって出力するキーがある

・「Control」キーが「Tab」キーの下にある

この2つが挙げられます。

詳細なキー配列は公式サイトに記載があるので、参照してみてください。

https://www.pfu.fujitsu.com/hhkeyboard/leaflet/hairetu.html

「Fnキーとの組み合わせ」によって出力するキーがある

例えば各1~12までのファンクションキーは「Fn」+数字キーを押すと出力できます。

他にも他のキーボードでは独立したキーとして設置されている「Home」「Caps」「PgUp」等は「Fn」と加えて特定のキーを入力すると出力される仕組みになっています。

その中で一番使用頻度が高いのは十字キーだと思います。コーディングする際に十字キーでカーソルを移動する人は最初は少しストレスかもしれないですが、慣れればブラインドタッチで扱えるようになりますのであまり心配しなくて大丈夫です。

「Control」キーが「Tab」キーの下にある

これ個人的にはすごくありがたかった点です。

本来他のキーボードのこの場所には「Caps Lock」キーがあるはずですが、HHKBでは「Control」キーに変更されています。

正直「Caps Lock」キーなんて使用頻度も高くないし無駄に幅を取っていて邪魔だと思っていた人は多いのではないでしょうか?

HHKBではその辺すごく合理的に設計されていて、ショートカットキーが押しやすくなっています。

エンジニアはエディタ等を使っている間頻繁にショートカットキーを多用するのでこの設計は本当に助かっています。

【デメリット】値段が高い

正直大きなデメリットと言える個所はここだけなのではないでしょうか。わけ分からんくらい高いです。

しかも静電容量無接点方式のキーボードは東プレのREALFORCEかHHKBのほぼ2択しかないのが現状で、REALFORCEも価格設定はHHKBとそう変わりません。

今回紹介した「Professional HYBRID Type-S」のモデルは約35000円もします。

このモデルは4台までのBluetooth接続に対応していて静音性にも配慮された付加価値もりもりもフラグシップモデルなのでこの価格ですが、別モデルの有線接続タイプや静音性に配慮していないモデルも販売されているので、そちらのモデルであれば少し値段が下がります。

またここまで書いた通り作りが非常に頑丈なので、中古品でも全然問題なく何年も使えますしメルカリなどで安くなっているのを探してみるのもありだと思います。

おわりに

アメリカ西部のカウボーイたちは、馬が死ぬと馬はそこに残していくが、どんなに砂漠を歩こうとも、鞍は自分で担いで往く。馬は消耗品であり、鞍は自分の体に馴染んだインタフェースだからだ。いまやパソコンは消耗品であり、キーボードは大切な、生涯使えるインタフェースであることを忘れてはいけない。

https://www.pfu.fujitsu.com/hhkeyboard/dr_wada.html

これはHHKBを開発された東京大学 和田英一 名誉教授のキーボード界隈(?)で有名な談話です。

この談話に僕はエンジニアがキーボードにこだわるべき理由が詰まっていると感じます。

キーボードは我々エンジニアがコンピュータと対話するためのメインの手段であり、一番触れている時間が長いインターフェースで、昔の侍で言う所の刀と同じ立ち位置であると言えます。

だからこそ、適当に選んだ自分の指や手の大きさ、腕に合っていないキーボードを使い続けるのではなく、自分の体に馴染んだインターフェースとしてのキーボードを探し続ける事は有意義な事ではないかと思いました。

皆さんも自分の体に合う生涯使えるキーボードを見つける旅に出てみるのはいかがでしょうか?

今回の記事がその参考になれば嬉しいです。

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